新年度が始まりましたね。
入園や進級で周りのお友達と接する機会が増えると、
「うちの子、言葉がゆっくりかも……」
「新しい生活についていけているかな?」と不安になることはありませんか?
もし、お子さんが新しい生活に少し戸惑っているように見えたら
一度立ち止まって、お子さんの中にある「言葉のチカラ」を確認してあげてほしいのです。
それは、大人の話を聞けているか? そして、どれくらい「理解」できているか、という視点です。
話をするためにはその前の前提として単語を理解していないといけません。
「ことばを理解する」ってどういうこと?
「言葉をわかっている」とは、どんな状態でしょうか。
単に音を聞き取れることではありません。
身近な「バナナ」を例に、お子さんの頭の中で起きている変化を想像してみましょう。
赤ちゃんの視界と「気になるもの」
赤ちゃんが生まれてしばらくは、寝転がったまま天井を見つめ、たまにやってくる大好きな人の顔を見て、なんとなくニコニコしています。
目に見えるものはぼんやりしています。
このころバナナを見せられても、あまりはっきり見えていません。
やがて寝返りを打ち、ずりばいやハイハイができるようになると、赤ちゃんは自分の意思で「気になるもの」へ近づけるようになります。
この頃、視界ははっきりし、ものの形がわかるようになります。
長くて細いバナナの形がぼんやりと認識できます。
色も分かり始めます。
バナナが黄色だと認識します。
五感をフル活用した「体験」
生後半年を超えると、さらに驚くような「五感のフル活用」が始まります。
- 触れる: バナナの皮の感触が硬い、バナナの中身の感触がベタベタやぬるぬる。
- 嗅ぐ: 鼻を近づけて、バナナの甘い香りを感じる。
- 味わう: 離乳食で口に入れ、甘い味、少し硬い食感、ネバネバした舌触りを体感する。
こうして「色・形・匂い・味・感触」を全身で体感しバナナという物を認識します。
バナナという物を大人が「バナナだよ」と見せたら、お子さんは「これには『バナナ』という名前がついているんだ」と学びます。
実物を体感した実感が、あとから「名前(音)」と結びつく。
これが、ことばの理解です。
言葉には「理解」と「表出」の2つがある
言語発達を考えるとき、一番大切なのがこの違いです。
- 理解(インプット): 言葉の意味をわかっていること
- 表出(アウトプット): 実際に声に出して話すこと
この二つは、はじめに理解面が成長してから話をできるようになります。
お子さんの脳に、黄色くて細長くて甘くて独特な匂いがするものは『バナナ』という名前がついていることに気がつきます。
その次に大人が「バナナ」と言っているのをみて、真似して口を動かしてみます。
この動かし方が正しくできた場合、お子さんが「バナナ」と言えるようになります。
ついつい私たちは「話したかどうか(表出)」ばかりに目が向きがちです。
実はその下には、理解という広大な海が広がっています。
言葉を話すにはここを育てることが必要です。
「わかっている」ことの価値を見つけよう
「話さないけれど、こちらの言うことは通じているみたい」 もしそう感じるなら、言葉の理解はかなり深まってきています。
- 「靴下持ってきて」で持ってこられる
- 「お風呂だよ」で脱衣所へ行く
- 「バイバイ」で手を振る
これらはすべて、言葉の立派な成長です。
話せなくても日常生活の中で「心が通じ合っている瞬間」を、まずは何より大切にしてください。
まとめ
言葉があふれ出すタイミングは、お子さん一人ひとり違います。
焦って水を無理やり注ぎ込む必要はありません。
もし今、お子さんが話さなくても、毎日の中で「バナナ、おいしいね」「お花、きれいだね」と一緒に五感を動かしているなら、それは着実に言葉の根っこを育てている時間です。
